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高齢になって見える「幻覚」、その意外な原因とは?
高齢になって見える「幻覚」、その意外な
原因とは?
第35回 幻覚は「目」ではなく「脳」で見ている
2023/11/15
平松類(眼科専門医)
私たちの体には、年齢とともに体力の低下、目の不調、痛みや不具合など、
さまざまな「老化現象」が現れます。この連載では、これらの老化現象を
「衰え」ではなく「変化」としてポジティブにとらえ、上手に付き合ってい
く術を、これまでに延べ10万人以上の高齢者と接してきた眼科専門医の平松
類先生が解説します。今回のテーマは「幻覚」です。
80代の祖父が部屋の一角を見つめています。
孫
「おじいちゃん、どうしたの?」
祖父
「人がそこにいるんだよ」
孫
「またそんなこと言って…おじいちゃん目がよく見えないんでしょ?」
祖父
「いや、今ハッキリと見えているんだよ」
孫
「でも誰もいないよ。どうしちゃったの?」
祖父
「そうか…いや、なんでもない」
幻覚は目では見えない
よく「幻覚が見える」と言いますが、「見える」というのは目で見ているようでそ
うではなく、
最終的には脳で見ています
。目に入ってきた電気信号が脳に伝わり、脳
でその電気信号を処理しているからです。そのため脳梗塞になると、脳の損傷によっ
て視野が欠損したり、失明してしまう人さえいます。
人は物を「脳で見ている」ため、目の病気にかかっても「見えるべきでないものが
はっきりと見える」という症状は起きません。「飛蚊症」のような、蚊が飛んでいる
ようなあいまいなものや、ゴミのようなものが絶えず見えるということはあります
が、「人がそこに立っている」といった具体的で大きなものが見えることは、目の病
気では考えにくいです。
ですからもし「本来そこにないもの、他の家族には見えていないもの」がはっきり
と見えると家族が訴える場合は、
目の病気よりは脳の病気を疑った方がいい
ので
す。中には心霊現象などを考える方もいます。そのことを現代科学では完全には否定
できませんが、まずは脳の異常を疑っていただければと思います。
若い人で幻覚が見える場合、
薬の影響
や
統合失調症
などが考えられます。統合失調
症とは、幻覚、妄想、まとまりのない思考や行動、意欲の欠如などさまざまな症状が
起こる原因不明の精神疾患です。
高齢者の統合失調症もありますが、高齢になると、ほかにもさまざまな原因で幻覚
が見える可能性があります。その1つが
認知症
です。認知症にはアルツハイマー型認知
症・レビー小体型認知症・血管性認知症などいくつかのタイプがあり、この3つは3大
認知症と言われています。特に
レビー小体型認知症
になると、幻覚が見えやすくなり
ます。レビー小体型認知症は一般にはなじみが薄い病名ですが、実はアルツハイマー
型認知症に次いで多い認知症です。本人や家族が気づかないうちにレビー小体型認知
症になって幻覚が見えるようになり、眼科にいらっしゃる方もいます。
レビー小体型認知症で見える幻覚は非常に具体的です。「寝ていたらベッドの横に
人が立っていた」と言う人もいれば、「虫やネズミが見える」と訴える人もいます。
そこで「目の病気では?」と心配されて眼科を受診するのです。しかし、実際には目
の病気ではないということになります。また、家族が「おかしくなった」と言って本
人を外に出さないようにすることもあります。そうした対応ではなく、きちんと病院
で診断・治療を受けることをお勧めします。
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